我は咲くなり
作家の武者小路実篤氏の言葉に
『人知るもよし。人知らざるもよし。我は咲くなり』
というのがある。
この上の句は
『あれを見よ 深山(みやま)に桜咲きにけり 真心つくせ人知らずとも』
である。
山奥に咲く桜の花は、誰も見てくれる者がいなくとも、精一杯に美しく咲いている─というのだ。
─人が見ているから、きれいに咲き、見てくれる者がいないから、適当に咲く─
などという、表裏のあるいい加減な気持ちなど、桜にはまったくないのだ。
それを思う時、ともすると、─いやしい性(さが)にさいなまれる人間の悲しさ─を、武者小路実篤氏は強く戒めているのであろう。
池上本門寺山主の言葉を情報誌「池上」(H24年1月号)掲載「池上録」より転載をしました。