オリオンよ、愛する人を導け。帰り道を見失わないように!

みなさんは「真夏のオリオン」という映画をご存知だろうか?
タイトルの「真夏のオリオン」とは、主人公潜水艦々長・倉本の恋人、志津子が彼にお守り代わりに手渡したオリジナルの楽譜のタイトル。イタリア語で『真夏のオリオン』と題された譜面には、倉本への巻頭のメッセージが書き添えられていた。冬の星座であるオリオンが真夏に輝けば、それは船乗りにとって吉兆となるのだという。
作品ではそんなオリオンが輝こうとする空の下、米海軍との戦いに挑む潜水艦乗りたちをドラマチックかつリアルに描いていく。玉木宏演じる倉本艦長を中心に潜水艦イー七七の乗員たちが苦境の中を必死に生き抜こうとする姿には、熱い想いがこみ上げてくる。また倉本艦長と米駆逐艦の歴戦の勇士・スチュワート艦長との知略にあふれた戦いは手に汗握る展開をみせる。戦い過程の中でそのメッセージ入りの楽譜をスチュワート艦長が手にするところとなる。映画のラストシーンで精根尽き、酸素も残量一時間となった倉本率いる潜水艦が海上にやむなく浮上、そこに海軍本部から終戦の緊急電報が入る。米駆逐艦にもそのことが米国本土から伝えられる。
「もうこれで終わりなら、最後まで戦って少しでも敵を殺傷して死ぬべきだ」と主張をする者もいる日本側にスチュワート艦長より冒頭の譜面に書かれたメッセージが光信号で送られ「敵も同じ人間だった」という当たり前の事実にみんな気づく。
「これが最後じゃない、これが始まりだ」と言う倉本艦長のセリフで映画が終り、全員が無事帰還して戦後復興に尽くしたことを予感させてくれる。恋人からもらった楽譜が本当にお守りになったのです。
このオリオンを「お釈迦さま」、あるいはこの人生をイキイキと生き切るための教え「法華経」と差し替えたら実にぴったりと心にフィットするのです。私達は大いなる存在である本仏釈尊から使命・役割を持ってこの世に遣わされ、何時も慈愛に満ちた眼差しで見つめられている存在です。そして今生での成すべき事が終わり、肉体生命が尽きたらまた本仏のところに帰って行く。この始終の人生にはいろいろなことが起きます。その過程を間違いなく、道を見失うことなく航海して行くため〝本仏釈尊の慈光〟と〝法華経の教え〟があるのだとこの映画を見て改めて確信しました。法華経・題目信仰こそ人生行路を歩む私達のオリオン・光明・頼りなのです。

合掌

野坂法行