短歌・俳句(過去の投稿 2016/05)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

ガーベラの中に負けじと草一本
直ぐ立ちており春の声する
奥 貞子
頂ける桃の花いけ菜の花を
添えれば春がもうそこに見ゆ
小池 豊子
突然の友の訃報に受話器もつ
手のふるえおり夜の廊下に
佃 かね子
われのごとき枯木立かと思いしが
梢に新芽がそこここに見ゆ
深辺 茂野
暮れ泥む八ヶ嶺仰ぐ病室の
われは回復に向かいつつあり
森永 妙江
覆水は盆に還らずの訓えあり
我が人生に悔恨渦巻く
檜山 太作
日の暮れて「月影地蔵」に手を合わす
ほっと一息安らぎを得る
菊地 蓮子
七段を平らに並べ雛飾る
父買いくれしも遥かとなりぬ
菅谷 妙進
ひなあられほの甘く白・薄緑・ピンク
掌に心ぬくもる
千葉 瓊子
四十路なかば妻にも子にも親にさえ
心残しつ逝きし友はも
曽山 澄子
曼荼羅の前に座ればお祖師様
日々に我をば導き給う
黒澤 理代

俳句 選者 能村研三

球音が空を敲いて春を呼ぶ
峰崎 成規
囀や空襲を知る大欅
酒井 智章
舟小屋のかろき鑿音水温む
石川 笙児
飛車落ちの手合ひ半ばや春動く
阿部 真佐朗
喪ごころや辛夷のこゑに座忘せり
山室 伊津子
ひんやりとせしも明るき菜種梅雨
曽山 澄子
春立つや中華街の赤一色
今里 隆