短歌・俳句(過去の投稿 2016/12)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

よく出来たいつでも褒めてくれたわね
遺影の夫の声が聞きたい
菅谷 妙進
「そうだね」と相槌を打ち耳遠き
妻の顔見て聴く人になる
飛田 正勝
秋はきぬ栗飯旨しほくほくと
噛めば命の伸びる思いす
奥 貞子
やぶ蘭の薄紫の花房は
朝の光に輝きており
佃 かね子
秋高し九十五歳の誕生日
泣いて笑いて幸と想へり
澤邊 茂野
白菜の定植終えて帰る夕べ
束の間晴れて法師蝉なく
吉野 芳子
今日、米寿家にて転倒左胸打ちて
あばらの骨を折るとは
檜山 太作
身延山、輪番奉仕五十回目
貫首様と節目の年に
村上登三江
念願の写経を秋に終えた夜
月の光は胸にしみくる
菊池 蓮子
鮎数多いろりに焼くや婿も息子も
釣り名人の友に並びて
柴田さくら
ありがとうそのひとことに救われます
今日も笑顔で感謝の心
天間 泰湧
老いてなお集まりし皆溌刺と
昔ばなしに笑いころげる
斎藤 和代

俳句 選者 能村研三

ぎざぎざの妙義の峰や鷹渡る
石川 笙児
樹齢など忘れましたと柿たわわ
酒井 智章
ライバルは初め兄から落花生
峰崎 成規
男振り極め新涼の勝力士
阿部真佐朗
だるま船曳くかれ朝寒の小名木川
菊地 光子
参道の小店小皿の衣被
飛田 正勝
衣被盛られ参道茶店かな
保田 榮子
無言館無言で出るや秋寂し
今里 隆
曼珠沙華情念深く燃え立てる
柴田 初子
鰯雲呆けず百へあと五年
澤邊 茂野
後の月見えたとメール届きけり
増島 淳隆
掃き終へて紅葉散らして客を待つ
山室伊津子