当たり前のことに感謝

この度の新型コロナウイルス感染症においてお亡くなりになられた方々、ご遺族の皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。また罹患された皆さまにおかれましては、一日も早い回復を御祈念いたしますとともに、心よりお見舞い申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い不要不急の外出は自粛することとなり、予防のためにマスク着用、手洗いやうがいなど消毒することが生活習慣になりました。
 この影響により、今までの当たり前という日常生活に変化をもたらし、皆さまも一つ一つの当たり前がいかに有難いことであったか気付かされたのではないでしょうか。「何でもないようなことが幸せだったと思う」とはある歌詞の1フレーズです。
 5月のある日、境内を歩いていると橙の木を眺めていた山務員さんに「マスクを外されてみてください」と勧められました。私は足を止めマスクを外しますと、そこには橙の爽やかで甘い花の香りが満ちていました。
気が付けばもう春も過ぎ去ろうとしています。こうした世情から今年の春は「春」という季節をまったく感じることができませんでしたので、その清々しい空気は私にとってささやかな春となりました。
 これからは新しい生活様式を取り入れた生活へとなります。自分さえよければそれで良いという時ではなくなりました。一人一人が相手を思いやり、手を取り助け合い支え合い、日蓮大聖人がお示しになられた「異体同心なれば万事を成じ、同体異心なれば諸事叶うことなし」というお言葉を心に留め、一日も早い終息を願いながら今あることへの感謝を忘れず、充実した日々を過ごして参りましょう。

合掌

伊澤文彦