菅野貫首写真

当世日本国に第一に
富める者は日蓮なるべし(開目抄)

 先月に続いて開目抄で示された日蓮聖人の聖語をご紹介いたします。紙数の都合で短くご紹介いたしましたので聖語の一句全てをご紹介いたします。
 「当世日本国に、第一に富める者は、日蓮なるべし
 命は法華経にたてまつる名をば後世にとどむべし」
 先号でも申し上げましたが、文永八年十一月日蓮聖人は佐渡にご配流になられます。思いおこしますと、松葉ヶ谷の焼打、伊豆へのご配流、小松原のご難、龍ノ口のご難に続いての佐渡へのご配流です。お弟子信徒の中には「日蓮聖人の弘教、弘法は正しいのか」「ご守護神はお守り下さらないのか」との疑問を持つ人が出てきました。そこで先月ご紹介の「私日蓮の法華経観、布教は釈尊の金言通り」とのご決意表明をなされて、更にご自身がこの法難についてどう思っておられるかということについてお述べになられたのが今月ご紹介の聖語であります。
 「私日蓮は北国寒山佐渡ヶ島に流されている、皆さんから見て過酷なように思われるかも知れない、又法華経布教について疑問を持たれるかも知れないが、私の心は法悦にあふれている、世間一般的な表現をするなら〝日本第一の富める者、豊かな者〟という幸せな心に満ちあふれている。というのが今の正直な心境なのである。」
とおおせになられ、更に加えて、その理由として、
 「お釈迦さまはこの法華経を〝上行菩薩に弘めよ〟とご遺言となされた。その上行菩薩が真に法華経を弘めると身命を失うほどの難に遭うと説かれている。私はまさにその通りの生活をしてきた。私こそが法華経の行者、実践者なのである。このことを確信した時の有り難さ、尊さをわかってほしい。これほどの悦び、これほどの豊める者が他におられようか、この大事を成しとげた私のことは末代までも語り継がれてゆくことであろう」
更に加えて、
 「天の加護なき事を疑わざれ、現世の安穏ならざる事をなげかざれ」
とおおせであります。それは全て〝法華経の行者〟の証しなのだから。七百年後の私たちの心中を見透かされてのご教示と思わずにおられません。
 「心の豊かさ」「佛法実践の法の悦び」日蓮聖人は佐渡の国から鎌倉、千葉、静岡の弟子信者の方にこの事をお示し、「そなた達もこの心境を味わいなさい」とお伝えになられました。このことはとりも直さず令和の時代に生きる私たちへのよびかけでもあります。「あなたは法華経、お題目を信仰することによって豊かな心になっていますか」「あなたは法華経、お題目を信ずることに佛法上の喜び(法悦)を感じていますか」「あなたは諸天善神のご加護を信じていますか」
 他人に言う必要はありません。池上のお祖師さま、菩提寺本堂のお祖師さまお宅のお佛壇のお祖師さまにご返事なさって下さい。


合掌

日彰