短歌・俳句(過去の投稿 2023/10)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

亡き母の農婦姿よまなかいに
玉音の夜の裸電球
立花三千男
もうすでに動かざるなり炎天の
舗道ましずか朱夏の熊蝉
立花三千男
庭先のゴーヤの日除け繁る葉の
ふかまる緑瞳にやさし
櫻井 俊子
狭き場の肥沃の土は稔りよく
あさげの胡瓜はうまし自家製
櫻井 俊子
猛暑日のフラペチーノの冷たさに
夏をしっかり味わうスタバ
西嶋 弘子
連日の猛暑こたえる老いの身は
快適空間図書館通い
菊地 蓮子
漆黒の夜空にあがる大花火
団扇でそよと乙なものなり
辻井 良枝
行かねばと未だに思う日に幾度住む
人のなき母臥しし家
小林みよ子
終戦の幕閉じ以来七十余
平和の道は今も果てなし
龍口 陽耕

俳句 選者 能村研三

かすかなる未明の息吹蝉生まる
峰崎 成規
三日目の蓮に色香出でにけり
石川 笙児
あらかたの夢は仕上げて蛇穴に
阿部眞佐朗
雷神の転げて来たる線状雨
酒井 智章
小流れのやがて大河へ河鹿笛
菊地 光子
秋澄むや視力検査の輪の切れ目
関根 瑶華
新宿はマンモスの骨大夕焼
竹田 絹子
法螺の音や今し開かる夏の山
古居 芳恵
七曜を捲る早さよ晩夏光
岩波 博庸
一笊の天草を干す尼衣
小形 博子
火の島をくっきり残し大夕焼
伊藤よし枝