短歌・俳句(過去の投稿 2024/02)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 清水麻利子

年の瀬の閉店告げる貼り紙に
跡継ぎなくと無念が滲む
櫻井 俊子
一斉に伐採されて束ねらる
ひまわり園に冬の残照
立花三千男
明けやらぬ空へ窓開け眺めれば
静寂の降る師走の朝
小林みよ子
キラキラや行き交う人らにこやかに
夕暮れ後のイルミネーション
辻井 良枝
老いるとは診察券が増えること
これから先はケセラセラかな
菊地 蓮子
夢を見し互いの刻を過ごしつゝ
君やすらかに西へ旅立つ
瀧口 陽耕
留守番の夕暮れせまり雨音に
帰り待ちわぶ携帯つかみ
西嶋 弘子
久しぶりばあちゃん訪ねたわが孫に
「よう来たよう来た」ぎゅっと抱きしむ
秋山 典子
齢また老いを重ねし何のその
我が家の古木にひとひらの梅
菊地 宣子

俳句 選者 能村研三

床の間に無事の掛物大晦日
酒井 智章
飢ゑ戦知らぬ果報や冬日向
峰崎 成規
数へ日や五年日記の三年目
阿部眞佐朗
親の夢引き摺つてゐる千歳飴
石川 笙児
三寒の陶窯の小屋火伏せ札
小形 博子
ほろほろと人の名を忘れ風花す
関根 瑶華
空つ風今宵の星の小さきこと
菊地 光子
黒帯の目力強し冬の星
池田 勝
朝駆けの駿馬の耳に風花す
竹田 絹子
父母も兄も無き郷冬銀河
伊藤よし江
山椒の葉は枯れはてて香り消し
秋山 典子
木道と共に歩める秋の風
辻井 良枝