短歌・俳句(過去の投稿 2015/12)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

おのずが身の心を写す鏡なり
三十一文字に姿勢をただす 
奥 貞子
ホームにて今日帰ると言いつつも
夜は黙して己がベッドに 
澤邊 重野
苦瓜の黄ばみて残る二、三本を
引き摺り下ろす秋は来にけり
飛田 正勝
路地裏の空き家の脇に一叢の
水引草の花風にゆれおり
畑 かね子
秋桜は深き想いの果てに咲かむ
鏡のように澄みわたる空
桜木 園子
廃校と聞きし母校を訪えば
跡地に老人ホーム建ちおり
吉野 芳子
皺がない姿勢がよいと言われるが
隠れた手足九十七歳
小池 豊子
萬燈会九十六段台車ごと
担いで詣るお題目パワー
檜山 太作
仕事中耳をすませば鳥の声
仕事を忘れて鳥(聴)力検査 
天間 泰湧
静寂の森の小道に佇めば
名残の月に露草匂う 
菊地 連子
宇宙から撮りたる関東平野には
我が悩みありとても小さく 
北郷 聖

俳句 選者 能村研三

万灯の波は報恩一百基 
酒井 智章
白々と秋日の沁みる象の肌
石川 笙児
幽くも何か告げたき虫の声
柴田 初子
白露かな生絹のごとき雲のあり
山室 伊津子
言霊をあやつり酌むや夜の秋 
飛田 正勝
梯子車の攻め昇りゆく秋の天
阿部 真佐朗
聞き流すことも覚へて濁酒 
田所 英之
陽の当たる石に休みて秋の蝶 
今里 隆
静かなる梢の揺れや十三夜 
保田 榮子