短歌・俳句(過去の投稿 2016/11)

このページは、池上本門寺『池上誌』に投稿された過去の短歌と俳句です。最新の投稿はこちらの池上本門寺 短歌・俳句をご覧下さい

短歌 選者 山中登久子

秋雨の漸くあがり中空に
村ごと包み夕茜たつ
吉野 芳子
注がれても飲めぬ齢の今年酒
うからやからに注ぎもてなす
飛田 正勝
染めようか迷いながら黄楊櫛を
目立つ前髪銀の耀き
菊地 蓮子
われ米寿ふりむき見ればあまりにも
多き悔恨渦巻きており
檜山 太作
昼下がり路地のにぎわい子等のかげ
暑さ忘れてしばしたたずむ
村山奈津子
境内のおとこに児の真似て覗き見る
蝉の穴とは真闇の世界
柴田さくら
遅咲きの額紫陽花はくっきりと
我が庭にあり手折りて活ける
畑 かね子
南国のムードに癒され笑顔して
愛や自然のフラダンス踊る
菅谷 妙進
ホームにゆきし友と別れてはや二年
如何に居るかと夏の終わりに
斎藤 和代
柳の木剪定されて幹だけに
なりしが夏には緑のカーテン
村上登美枝

俳句 選者 能村研三

テロップの急迫を告ぐ野分かな
阿部真佐朗
月光を浴びに連れ出す車椅子
石川 笙児
朝勤や朝顔の待つ参道へ
酒井 智章
万霊の魂の重さや今年米
峰崎 成規
無口なる男の背や鯊の竿
菊地 光子
飛沫たつ滝に真向ふとき独り
柴田 初子
口ごもる時の助けや秋扇
今里 隆
今日もまた一日が一世酔芙蓉
飛田 正勝
古都奈良の暗闇点す燈花会や
辻井 良枝